【生産性向上?人時売上?人時生産性?】人員を絞り過ぎると大変な事になりますよ!人時分析に潜む罠
どうも、おはこんにちばんは!もんたろうです。
近頃ぼくの住んでいる地域でも人員不足が深刻です。募集してもなかなか人が集まらない…。
離職率も高く、慢性的な人員不足に悩まされています。また、人事分析による数値も足かせとなり、更に人員不足に拍車がかかります。
昨今売上が厳しいスーパーマーケット業界ですが、中には伸びている企業もある。そのような企業があるということは、伸びる可能性を秘めているのもまた事実。
しかし、人が足りない。
作業が回らず業績が振るわない。売上が上がらないと人員の補充も難しい。
売上不振に陥った店舗の、人時分析による『負のスパイラル』に潜む『数字の罠』について考えたいと思います。
『 具体的な生産性向上についての記事』については以下の記事を参照してみてください。
ちなみに、『人時』の読みは『じんじ』ではなく『にんじ』です。
【▼目次】
人時分析とは
売上・粗利額・総労働時間から割り出される数値の事で『人時売上高』や『人時生産性』があります。
これによって、売上や粗利と人員の過不足を数値化し、分析する指標とする事ができます。
本部など上層部ではこの数値を基に店舗、部門の人員過不足を判断します。
これが現場のトップである店長の頭を悩ませます。
上からは「売上がこの程度なのにこの人員は多すぎないか?」と迫られ、下からは「そんな事言っても、これ以上人員カットされたら作業が回らないし残業も増えてしまいます!」と泣きつかれ、上下の狭間で板挟みになってしまうのです。
店舗を運営し利益を稼ぎ出さなければ商売が成り立たないという性質上、無視のできない数値です。
しかし、この『人時分析』を盲信してしまう事により、更なる悪循環を招く結果もありえます。
先ほど述べたとおり、『負のスパイラル』を生み出す危険性があるのです。
その前に『人時売上高』と『人時生産性』について説明しましょう。
人時売上高とは
人時売上高は『従業員1人が1時間当たりにどれくらい売り上げているか』を示します。
【計算式】人時売上高=売上高÷総労働時間
例)売上高が500万円、社員・パート含む総労働時間が1000時間の場合
500万円÷1000時間=5000円/時間 となります。
当然この数値が高い程、効率よく労働時間が費やされている事となります。
逆に、この数値が低いと「人員が多い」と言われてしまいます。
しかし、高ければ高い程良いかと言えばそうでもなく、人員不足を示す指標となります。
人時生産性とは
人時生産性は『従業員1人が1時間当たりにどれくらい粗利益を上げているか』を示します。
【計算式】人時生産性=粗利益高÷総労働時間
例)粗利益高が100万円、社員・パート含む総労働時間が1000時間の場合
100万円÷1000時間=1000円/時間 となります。
見方は人時売上高と同様です。
人員不足による影響
人員不足がいよいよ本格化してくると様々な悪影響が予測されます。
接客レベル低下
作業に追われ心の余裕が無くなってくると、お客さんへの対応が無表情で形式的なものとなってしまいます。
目の前にある作業にしか目が行かず、『お客様最優先』はどこへ行ってしまったのか…。
活気が無く殺伐とした空気感が店内で蔓延してしまう事で、当然お客さんは気持ち良く買い物できず、最終的に酷い場合はその店へ来なくなってしまう可能性も低くありません。
自分に置き換えても、そんな店行きたくないですよね(苦笑)
ミス多発
余裕が無くなってくるとミスが目立つようになります。「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と焦る事により注意力が散漫になり、ミスを連発します。
どツボにハマると、ミスがミスを呼び、めちゃくちゃになります。
冷静さを失うといい事はありません。
このパターンにハマるとどんどん自分で自分を追い込むようになります。
数年前のぼくのように(笑)
清掃レベル低下
わかっているのにできない!現場で何よりも優先されるのは『売場を埋める事』!
そのプレッシャーを背中にケリを入れられる気分で受け続けるわけです。
何よりも売場を埋める事が優先され、売場のホコリを見て見ぬふりをするようになります。「むむむ…気になる…でもまずは売場を埋めなければ…!うん、余裕のある時にやろう!」
余裕のある時なんてありません。
次第に見て見ぬふりに慣れてしまい、ホコリがどんどん積もるばかり…。
気がつけば「こんな汚い店に置いてある物なんか買いたくない」と思わせるレベルに達し、すでに客数は減少し始めていた…。
恐ろしい結末です…。
最初は仕組み化されていた清掃も、人員がいればこそ。
鮮度低下
生鮮食品は鮮度が命。しかし、清掃も妥協すれば鮮度チェックも妥協されていく…。とにかく売場が埋まっている事に満足感を覚えるほどに感覚はマヒしてくるのです。
人員不足を不憫に思った店長は細かく指摘する事ができず、ついには店長まで妥協し始める。
気が付けば生鮮売り場は萎びた商品が散見されるようになる。
そして、それも『いつもの風景』と化し、違和感を忘れてしまう。
店長が妥協を始めたら店はおしまいです。
売場維持力低下
売場が埋まっていればまだいいものの、提出書類も期限までにこなさなければならない。売場を埋めるだけが仕事ではないのです。
提出物や発注、その他諸々の仕事が日々襲いかかる中、ついには売場を維持する事さえもままならなくなる。
一体何が最優先なのか判断が付かなくなる。
あれも大事、これも大事、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ…
もはや毎日パニック状態。
欠品も多く、売場に穴が空いたまま数時間放置。在庫はあるが売場には商品が並ばない。発注時には在庫を確認する余裕も無く、ダブり発注が増えてくると同時に在庫がどんどん膨らんでいく。
その在庫を片付けないと次の荷物が倉庫に収まらない。在庫整理にも時間が割かれる。それでも残業はし過ぎると本部から指摘を受ける。
そうしてサービス残業へ突入!もはや報われない社畜状態。
ピリピリし始める
様々なイライラから、短気になってしまい、周りに八当りし始めるようになります。
すると周りのモチベーションが下がり、更に生産性は落ちていく。
休憩時間もまともに気が休まらない。
ストレスも溜まり、好き勝手言ってくる本部や上司にも噛みつく始末。
もはや地獄絵図。
大げさかもしれないですが、当事者はまさにこのような気持ちに襲われます。
まとめ
最悪なパターンを想定して、少々大げさに表現してしまいましたが、十分に起こり得る事態だと思いますし、自分も近い状態に陥った経験があります。
途中でだんだん楽しくなってきて、変なハイ状態入りましたけど(笑)
この様な状態にならないように、数字だけを盲信せず、冷静に人員配置を行っていただきたいと思います。
店長さんには、「よし!オレは3カ月怒られる覚悟で人員増やすから、おまえら、その間に結果出せ!そしたら本部も文句言えねえだろ!頼むぜ!」くらいの器量が欲しいものです。
担当者の方は、「まずは人員がいなければ身動きとれません!結果出すから増員してください!」と訴えましょう!
また、部下を育てて生産性を上げる事も重要度を増します。的確に指示を出し、少しでも多く人時売上高を引き上げる努力も怠ってはいけません。
まずは効率化を考え、今の状況でどう回していくかを考えていく事も忘れないようにしましょう。
テンパる気持ちはわかりますが、とにかく冷静に!
以上
次のおすすめ記事はこちら
スーパーで人時生産性を上げるたった5つの現場的実践手法 - Sense does not matter~センスある奴はほんのひと握り!~
30代のお父さんに絶対『hulu』をおすすめしたい4つの理由!! - Sense does not matter~センスある奴はほんのひと握り!~